バザールの正門からすぐのところにあるビビハニム・モスク(Bibi-Khanum Mosque)まで歩く。

まさかこんなにすぐにあるとは。
観光客もたくさんいた。
また、モスクかぁ、と思ってしまった。このモスクはもともとは1400年くらいに建て始められたものではあるんだけど、地震で崩れたり廃墟になってしまったりと廃れていたものを近代になって再建されたものだというし。現状ドームの上に草が生えていたりとあまり注力されてるような気もしない。
いや、こう考えると京都の清水寺とか建立後の「維持」のされ方はちゃんとしているんだなぁと思える。タイルと同じく瓦とかだって放っておけば草だって生えてくるはずだもんなー。
モスク前では土笛や飾り皿を売っていた。
入国するのにビザが不要になってからまだ日は浅くて、ウズベキスタンはまだ観光国としては駆け出しなわけだけども、もっとモスク以外にもウリがあるんじゃないかなぁ、とか思った。ツアー中観光時間はほぼモスクで自由時間もなかったので、何があるかはわかんないけど(;´∀`)エヘヘ
そのくらい「再建されたのが近代」のモスクが多くてそれらはきれいで当たり前だったりして、もっとこう「古いのに保存状態がいい」とか「古いまま」とかでもいいような気さえしてくる。
さて、ここはわりとサックリと観て終わった。短い時間とはいえ、朝からの移動でそろそろ足も疲れてきたのと、私の場合ちょっとお腹が痛くなってきていてトイレに行きたくなっていた。
バザールとモスクの間にカートの乗り場があったことに気づいてた。なんとなく「これがあるってことは歩くとこなのかな」と想像もしていた。でもガイドちゃんはビビハニムモスクを出ても「乗りますか?」と聞いてくれる様子はない。「ということは近いんだろうな」と考えた。
ビビハニムモスクあたりからまっすぐに道路が延びている。「向こうです」と促されて歩き始める。数メートル歩く間にもカートが行ったり来たり。これ以上歩いてくとカート乗り場から遠ざかってしまう、と思ってついに聞いてしまった。「近いの?大丈夫かな。カートに乗るほどじゃなくて?みんな乗ってるようだけど?」と。
ガイドちゃんはここまっすぐですぐですよ。というのでそのままついていった。ここでどのくらいか教えてくれたらアルク城の時のように乗ったのに…。
15分くらい歩いたころ。私のお腹はほんと怪しくなってきた。トイレに行きたいというと「そこに銀行があるので行きましょう」という。スタートのモスクから500mくらい。たった500mと思われるかもしれないけど、杖をついた母とトイレに行きたい私にとっては暑いしギリギリだったので、喜んで銀行の中へ。
しかーし、警備員にガイドちゃんが話して入ったのは、銀行の中ではなくて別棟のトイレだった。「どうぞ」といわれてドアを開けて驚愕。今の日本には見ることはできなくなったボットントイレ。そして色、臭い、すべてが許容範囲外。開けて瞬間悩んで、でもとてもじゃないけど無理だったので「ごめんね、無理だわ」と断ってしまった。
トイレには入りたいし、探してくれたガイドちゃんに悪いし、だけど…と気持ちがグルグルでいい気持ではなかった(;´∀`) 「この後どうするの?」と聞くと「レギスタン広場の観光がある」という。後で調べたんだけど、ここからあと300mも頑張れば広場の端っこに着いたらしかった。だけどこの時は耐えられなくて母とこっそり話して決めた。
「レギスタン広場は夜も行くでしょ?」「ならさ、お昼ご飯にしよう。夜のライトアップの時に案内してもらえばいいよ」「今レストランに行ったらトイレも行けるしすべてOKなんだよね」
伝えるとガイドちゃんは少し不満げだった。会社に決められたスケジュールを変えられるのは困るってことだったのかもしれない。せいぜい「あそこなんですよ」と広場の端だという方向を指さした。ラスベガスでもそうだけどいろんなものが大きすぎると距離感はおかしくなる(笑) その極みがモスクからここまでの距離だった。この700mの距離はカートに乗りたかったよー( ;∀;)
ドライバーさんを呼んでくれない?どこにいるの?というと駐車場があるからそこに行きますといって向かった。わりと近いところに駐車場があった。もう足がいたーい。おなかもいたーい。
ところがよ。ここからが事件だった。ガイドちゃんが電話してもドライバーさんがつかまらない。10分の待っても電話が通じないという。そのうちに、ガイドちゃんが駐車場にたまっていた複数のドラバーたちとに話し始めた。何をしゃべってるのかわかんないけど談笑している場合じゃないことはわかるだろうに。…イライラしてきた。彼女に言った。「あのさ、こうして10分も暑い中にいるのも疲れるし、ドライバーさんが電話に出ないなら仕方ないからタクシーでレストランに行こうよ。ドライバーさんには連絡し続けて連絡ついたらレストランに迎えに来てもらわない?」
そういうと「そうですね。そうしますか。じゃあタクシー探さないと」とまた男性たちの中に戻る。二人にされた私と母がキョロキョロしている間にも数台のタクシーが流しているのが見えた。なにやってんの?なんであそこに戻るの?なんで笑ってしゃべってんの?
彼女が戻ってきた。「今、喋っていたうちの一人が乗せていってくれるらしいです」
数分待ってて来た車は普通のセダンだった。タクシーじゃないの?どーゆーこと?もう疑問の嵐。促されて車に乗った。ガイドちゃんが乗れというなら大丈夫なんだろう、と。車に乗り込むと音楽を大きな音量でかけて助手席に乗り込んだガイドちゃんとドライバーが笑ってしゃべる。もう説明が足りなさすぎることにイライラマックスな私。イライラを抑えつつ知り合いなのかと聞くと、「びっくりなんですけど、偶然同郷だったんです。年も近くて」みたいなことを言う。大きな音楽の中で若い二人のドライブデートにつきあってるみたいな状況(笑)
町の中だと聞かされていたレストランになかなか着かない。どんどん車は郊外に走る。「どこいくの?レストランじゃないの?」と聞くと「このドライバーさんに聞いたら予定していた店より美味しいお店を知ってるからと言うので」という。
帰国後なんとかGPS値から調べてみた。店は「Nomdor choyxona」。乗ったところから3kmくらいだった。とっても長く感じたけど。
結局ガイドちゃんはこのドライバーに丸め込まれたわけだ。案の定ドライバーは店の人と握手して喋って帰っていった。ドライバーはこの店の知り合いで「客を運んできた」んだ。私たちを下ろしたら行ってしまった。
いろんなモヤモヤを抱えながらもとりあえずトイレに行くことに。それが肝心。店の人が外を指し出ると離れたところに扉があって、開けると…絶句。さっきの銀行の方がまだマシだった。鼻につく臭いと見た目に茶色い状態。潔癖なわけではないけどどうもこうもないくらい。ガイドちゃんが「どうです?」と聞く。「・・・マーちゃん、悪いけどまじで無理。これはもう…」というと母と二人で私が見ている光景をのぞきこんで、そして理解したようだった。
我慢の限界す。いろんなことに。
だめだ、こりゃ。マーちゃんはガイド初心者と思うしかない。だけど自分と母の旅行をちゃんと満足いく終わらせ方をしたい。と思って気合い入れてマーちゃんに話し始めた。
もともと会社で予定していたレストランがある中心部に戻る努力をすること。その間にもドライバーさんに連絡を取り続けて食後ピックアップしてもらうこと。これを実行して、と。
彼女は「すみません。わかりました」と店の人にタクシーを呼べないか聞きはじめた。店には悪いけどトイレがあーならもはやここで食べる義理が無かった。一刻も早くきれいなトイレに入りたい。
サマルカンド空港と中心部を結ぶ幹線沿いではあるものの流してる車なんてない。なかなかタクシーはいない。ふと見ると食事中の客にタクシーがいた。その人に頼めるかもってことになったころにドライバーさんに電話がつながったので待つことになった。
彼が来るまでの間にガイドちゃんとサシで話した。
まず説明が足りないこと。客が忖度したり想像したりする前に現状と相談と報告があったほうが良い。私たちは旅の始まりからずっとそれを感じていて、いつも「たぶんマーちゃんはこういう方向で考えてるんだろうね」と想像して行動していた。今まで30回以上海外に行っていて、こんな旅行は初めてだった。これから日本人観光客はますます増える。その過渡期においてこれから旅行業に就きたいと考えるならもっと考え直さないといけないだろうと。マーちゃんは人間としては悪くない。明るいし、フットワークは軽いし。ウズベキスタン人が日本人と違う。それを踏まえたうえでもビジネスとして捉えたら足りなさすぎる。
もはや私は怒ってはいなかった。この子はいい子だけど仕事として考えたらクレームだらけだ。けど、我慢して日本に帰国してから「過ぎたこと」として代理店にクレームを入れるのは違うと思った。現地の問題は現地で解決しないと、現状がわからない日本の代理店から「よろしくない現地オペレーター」というレッテルを貼られる方がよっぽど良くないと思う。現地でしっかりクレームするところをして改善してもらえば日本帰って言うことはないし、実際今回私は帰国してから日本の代理店にこの件に関するクレームはしなかった。ざっと対応してもらったことは伝えたけれど。
彼女はちゃんと聞いていた「風」だった( ´艸`) 若いから「この客サイアク」と思って聞いていたかもしれないけど、それでもちゃんと聞くだけ聞いていたのでもう良しとすることにした。
ダラダラとした結論・判断待ちってのが私はキライなのだ。真剣に考えて出す答えなら待つけど、今回のようにどーしましょーとダラダラするのが嫌(笑) たぶんせっかちと思われただろうなぁ・・・(;´∀`)
ともあれ、待ちに待っていたらドライバーさんが登場した。車に乗り込むと母が置いておいたカーディガンが足元に落ちて、それに泥がついていた。母の顔が歪むのを感じた。ガイドちゃんは車の中で彼に怒ったらしい。ウズベク語が分からないワタシでも、ドライバーさんが「イイワケ」しているのが分かった。ベラベラと喋るドライバーさんに私は日本語で言った。「イイワケなんてどうでもいいけど、母のカーディガンが汚れて落ちていたんだけど」と強めに言った。ようやくドラバーさんが黙った。たぶん「客が怒ってる」ことは伝わったようだった。
その後は助手席のガイドちゃんと何か会話していた。もう私も言うことはなかったので黙って乗っていた。なんか気分が良くないもんだな。ウズベキスタンの民族性が私なりにわかった気がした。けっこう「緩い」のかもしれないな。
なんだかトイレが私の中から遠ざかっていたんだけど、とある場所でトイレに行かせてくれた。それはあの石段にビビッて入らなかったシャーヒ・ズィンダ廟群の駐車場わきにあるトイレだった。
ここもチップが必要なんだけど、なんでかガイドちゃんが払ってくれた。とてもキレイなトイレでほっと一息つくことができた。ようやくお昼ご飯のレストランへ向かう。